ステンレス鋼の種類と用途について

query_builder 2025/04/18
著者:アールニーズ株式会社
18ステンレス鋼

ステンレス製のシンクや調理器具を選ぶとき、素材の違いを意識したことはありますか。どれも錆びにくい金属として知られていますが、その性質や耐久性、加工のしやすさには大きな差があります。特に建築現場や食品加工、医療機器の分野では、選ぶ鋼種を間違えると腐食や劣化が早まり、数十万円規模の損失に直結することさえあります。


ステンレス鋼には、オーステナイト系やフェライト系、マルテンサイト系などの分類があり、それぞれに特徴的な特性があります。例えばクロムを含むことで表面に不動態皮膜が形成され、耐食性が飛躍的に向上しますが、使用環境によってはニッケルやモリブデンなどの添加元素が必要になる場合もあります。加えて、溶接性や加工硬化性、磁性、熱伝導率といった性質も、用途に応じた適切な選定が不可欠です。


経済産業省の金属材料統計によれば、国内で使用される特殊鋼のうち、ステンレス鋼が占める割合は年々増加傾向にあり、現時点では自動車や家電のみならず、再生可能エネルギー関連設備でも積極的に採用が進んでいます。こうした背景を踏まえると、単に錆びにくいからといった理由だけで素材を選ぶのは、もはや時代遅れになりつつあるのです。


この記事では、ステンレス鋼の基本構造から種類別の違い、加工や使用時の注意点まで、材料選定に迷うすべての方へ向けて専門的かつ実務的な視点で解説していきます。

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ステンレス鋼のとは

ステンレス鋼は、鉄にクロムを一定割合以上添加することで錆びにくくした合金鋼の一種です。現在では台所用品から医療機器、建築資材、工業部品に至るまで幅広く使用されており、その用途の広さと耐久性によって不可欠な素材となっています。


このステンレス鋼が誕生したのは20世紀初頭で、1913年にイギリスのハリー・ブレアリーによって実用化されました。当時、火器の内筒の摩耗を抑えるための研究の中で偶然発見されたこの金属は、酸化に強い表面皮膜を自然に形成するという特性から、腐食しにくいステインレス(Stainless:錆びにくい)鋼として一気に注目を集めました。


現代においてステンレス鋼は単なる錆びにくい鉄ではなく、化学的性質・機械的強度・加工適正の三拍子を揃えた高機能材料として定義されることが一般的です。その定義を技術的に正確に表すならば主成分として鉄をベースに、クロム含有量が10.5%以上、炭素量1.2%以下で構成された耐食性合金となります。


このクロムの10.5%以上という数値が非常に重要なポイントであり、それ以下では酸化皮膜が安定せず、錆びやすくなってしまいます。クロムが空気中の酸素と反応して形成される不動態皮膜と呼ばれる非常に薄い透明な酸化被膜こそが、ステンレス鋼の錆びにくさの根幹です。この被膜は数ナノメートルの薄さでありながら強靭で、損傷しても自然に再生される性質を持っているため、環境変化に強いという特長を発揮します。


他の元素としてはニッケル、モリブデン、チタン、銅などが用途に応じて加えられ、加工性や溶接性、耐熱性、耐酸性など、求められる性能を高める工夫がなされています。こうした多様な配合バリエーションにより、ステンレス鋼は単一素材ではなく、用途や機能に応じて最適化された無数の種類に細分化されているのが実情です。


例えばオーステナイト系ステンレス鋼(代表例:SUS304)は、クロムに加えてニッケルを含むことで加工性や溶接性が向上し、家庭用シンクや医療機器に多用されています。一方でフェライト系(SUS430など)はコストパフォーマンスに優れ、磁性を持ち、厨房機器や家電の外装などに多く用いられます。このようにステンレス鋼とは、単なる一種類の金属ではなく、用途特化型の金属群の総称なのです。


国際的な規格により材質が分類されている点も見逃せません。日本ではJIS(日本産業規格)、アメリカではAISI、ドイツではDINなど、各国で独自の分類が存在しますが、基本構造は共通しており、SUS304などの番号で特定の材質を示すことで、世界的に同じ基準で選定・利用が可能になっています。


ステンレス鋼の誕生から今日までの進化は、素材技術の結晶とも言える過程でした。現代では新たな抗菌機能や、CO2排出削減に寄与する再資源化可能素材としても注目され、単なる耐久性素材にとどまらず、環境や医療、持続可能性といったキーワードとともに進化し続けています。現代でもなお、ステンレス鋼の研究と用途開発は世界中で進められており、その柔軟性と信頼性が揺らぐことはありません。

ステンレス鋼の分類について

まずオーステナイト系は、現在市場で最も広く使われているステンレス鋼の一種です。代表的な鋼種にSUS304やSUS316があり、非磁性でありながらも耐食性と加工性に非常に優れているのが特徴です。このグループのステンレスは、クロムに加えて8%以上のニッケルを含んでおり、冷間加工によっても硬化しないため、家庭用品から医療器具、建築資材まであらゆる分野で使用されています。特にSUS316は、モリブデンを含有しているため、海水や塩分を含む環境でも優れた耐食性を発揮します。


一方、フェライト系はコスト面と磁性が求められる用途で採用されることが多い鋼種です。代表的な例はSUS430で、クロムを主成分とし、ニッケルをほとんど含まないため価格が抑えられており、厨房機器や家電の外装、建築パネルなどで広く活用されています。このタイプのステンレスは磁性を持ち、また熱伝導率も高いため、IH調理器やオーブンの内部材としても適しています。ただし、溶接性や延性にはやや難があり、極端な衝撃や複雑な加工には注意が必要です。


そしてマルテンサイト系は、硬度と強度を重視する場面で活躍する鋼種で、刃物やシャフトなどの機械部品に多用されます。代表鋼種にはSUS410やSUS420があり、クロムをベースに比較的高い炭素量を含むため、焼入れによる硬化処理が可能であり、高強度を実現できます。このタイプのステンレス鋼は、耐食性は他の系統に比べてやや劣るものの、耐摩耗性や高硬度を必要とする機械部品に適しているため、工業用途で重宝されています。また、磁性を持つため、磁気制御が求められる装置や検知装置との相性も良好です。


以下は各系統の代表的な特性を比較した表です。これにより、それぞれの違いが一目で分かるようになり、用途に応じた最適な選定がしやすくなります。


系統名 主な鋼種 主成分 磁性 加工性 耐食性 強度 主な用途
オーステナイト系 SUS304,SUS316 クロム+ニッケル(+モリブデン) なし 非常に良い 非常に高い キッチン用品、医療機器、配管、装飾材
フェライト系 SUS430 クロム あり 良い 中程度 家電外装、厨房機器、建築内装材
マルテンサイト系 SUS410,SUS420 クロム+高炭素 あり やや低い 低~中 高い 刃物、バルブ、シャフト、工具類

信頼できるステンレス鋼業者を見つける方法

まず第一に確認すべきは、業者の保有する認証や許可の有無です。例えば、JIS認証やISO9001などの品質管理認証は、製品品質に対して一定の信頼性を保証します。また、金属リサイクル事業に関する許可(産業廃棄物収集運搬許可・金属くず業許可)を取得しているかどうかは、持続可能な資材調達を行いたい企業にとって重要な判断基準となります。特に環境配慮型調達を進める法人では、法令遵守やトレーサビリティが求められるため、こうした公的証明は欠かせません。


次に注目すべきは、過去の実績と取引先の幅です。長年の業歴を持つ業者であれば、それだけ多くの製造業者やゼネコン、建築士などと取引してきた実績があります。公式サイトに掲載されている導入事例や対応業種を確認し、自社と同規模・同業種の企業との取引経験があるかを見極めることで、対応力の高さや業界知識の深さを測ることができます。また、企業によってはSNSやクチコミサイトでユーザー評価を公開しており、リアルな声を通じて判断材料にできます。


三つ目のポイントは、価格の透明性と見積もりの正確さです。信頼できる業者は見積書において、材質、加工内容、ロット数、単価、送料、納期などすべてを明記し、あいまいな表現や一括表示を避けます。曖昧な見積もりは後に追加費用が発生する可能性が高く、トラブルの原因になりやすいため注意が必要です。また、原価の変動要因について事前に説明があるかどうかも、誠実な業者かを判断するうえでの一つの指標になります。


四つ目は、納期の確実性と在庫対応力です。特に建築現場や製造ラインでは、納品の遅延がそのままプロジェクト全体の損失に直結するケースが少なくありません。優れた業者は、在庫の管理体制や物流ネットワークを整備しており、急な発注や数量変更にも柔軟に対応できます。また、輸送時の梱包品質や配送実績も重要です。実物写真やレビューが掲載されている場合は、実際の梱包状態を確認することで、納品時のトラブルリスクを未然に防げます。


最後に重要なのが、問い合わせへの対応品質と技術的なサポート力です。電話やメールのレスポンスが迅速かつ的確であるかどうかはもちろん、専門的な質問に対して、営業担当者が技術面を含めた回答ができるかどうかは非常に大きな判断材料になります。特に複雑な加工指示や特殊鋼材の指定など、技術的なやり取りが発生する場合には、営業と技術担当の連携体制が整っている業者でなければ、スムーズな取引は難しいと言えます。


以下に、これら5つの視点を一覧で比較できるように整理しました。


視点 判断基準 チェックポイント例 推奨アクション
認証・許可の有無 法令遵守・品質保証 JIS、ISO、廃棄物許可など 各種証明書の確認
実績と取引先 業界理解・経験値 施工実績、業歴、取引先一覧 導入事例・取引社数の確認
価格の透明性 見積明細・費用対効果 単価、送料、納期の明記 相見積もりで比較検証
納期と在庫力 安定供給・トラブル回避 常備在庫数、輸送手段 納品事例・レビューを確認
対応と技術力 取引の安心感・専門性 技術相談、見積精度、対応スピード 試しの問い合わせで評価

ステンレス鋼が使われる代表的な業界とは

まず最も汎用性が高く、ステンレス鋼の象徴的な活用例として挙げられるのが家庭用品業界です。台所のシンク、鍋、フライパン、包丁などにはSUS304が多用されており、これは非磁性で耐食性が高く、なおかつ見た目の美しさを保てることが理由です。特に水や塩分にさらされる環境に強く、衛生管理が求められる場面に最適です。さらに最近では抗菌加工や防汚コーティングなどの付加機能が加えられ、食品接触材料としても信頼性を高めています。


医療業界においても、ステンレス鋼の重要性は非常に高いものがあります。手術用のメス、鉗子、注射器、さらにはMRI対応ベッドフレームなど、医療機器全般に使用されています。ここで使われる鋼種は主にSUS316またはSUS630であり、いずれも耐塩素性・耐薬品性に優れ、かつ高い強度を誇ることが求められます。特にSUS316はモリブデンを含有することで、体液などに含まれる塩分に対しても高い耐食性を発揮するため、体内埋め込み型の医療器具などでも使用されることがあります。


食品加工業界では、サニタリー性が絶対条件とされるため、ステンレス鋼の使用はほぼ必須とされています。タンク、パイプ、搬送機器などには主にSUS304やSUS316が使用されており、洗浄性、耐酸性、耐アルカリ性に優れている必要があります。また、食品の種類によっては高濃度の塩分や有機酸にさらされるため、通常の鋼種では対応できず、より耐腐食性に優れた特注材が使用されることもあります。日本国内の食品機械工業会でも、食品接触部にはステンレス鋼の使用を推奨しており、業界標準として確立されています。


建築業界では、外装材や手すり、屋根材などに使用され、見た目の美しさと耐候性の高さが評価されています。特に高層ビルや公共施設では、腐食のリスクが長期的に避けられることが重要であり、SUS304やSUS443CTなどの建築用高耐食鋼が使用されています。屋外環境では酸性雨や排気ガスなどによる腐食のリスクもあり、一般の鉄ではメンテナンスコストがかかるため、ステンレス鋼の導入が進んでいます。


自動車・輸送機器業界でも、ステンレス鋼は欠かせない存在です。排気系部品、燃料タンク、ドアパネル、ボディの一部、さらには電気自動車のバッテリーケースなどに使用されています。これらの部品では耐熱性と耐腐食性の両立が求められるため、フェライト系やマルテンサイト系の特殊鋼種が選定されます。また、電動化に伴う軽量化需要から、二相系ステンレス鋼(デュプレックス鋼)への切り替えも進んでおり、機能性と環境負荷低減を両立できる素材として期待されています。


以下の表に、ステンレス鋼が活用される代表的な業界と、その主な製品例、使用される鋼種、要求される特性を整理しました。


業界 主な製品例 使用鋼種 主な要求性能
家庭用品 シンク、鍋、包丁、冷蔵庫内装 SUS304 耐食性、美観、清掃性
医療 メス、注射器、手術器具、手すり SUS316、SUS630 耐薬品性、非磁性、強度
食品加工 タンク、パイプ、コンベア SUS304、SUS316 耐酸性、衛生性、洗浄性
建築 外装パネル、屋根、手すり SUS304、SUS443CT 耐候性、耐塩害性、意匠性
自動車 排気管、燃料タンク、EV部品 SUS409L、二相系 耐熱性、軽量性、強度

まとめ

ステンレス鋼は、私たちの生活や産業を支える重要な金属材料のひとつです。錆びにくく、強度が高く、加工性に優れたその特性は、住宅のシンクや調理器具、医療機器、自動車部品、さらには建築資材や化学プラントにまで広く利用されています。しかし一方で、用途に応じた適切な鋼種を選ばなければ、腐食や割れといったトラブルを招き、修繕コストや信頼損失といった大きな問題につながりかねません。


特にSUS304やSUS316などのオーステナイト系、SUS430などのフェライト系、SUS410のようなマルテンサイト系ステンレス鋼は、それぞれ異なる特性と役割を持っています。例えば、耐塩害性能を重視するならモリブデンを含んだSUS316が適していますし、コストを抑えつつ磁性を必要とする場面ではSUS430が選ばれることが一般的です。これらの違いを理解することで、用途や環境に合わせた最適な材料選定が可能となります。


経済産業省の金属統計によれば、ステンレス鋼の国内生産量は年々微増傾向にあり、現在も依然として需要の高い金属種であることが分かっています。特に近年は、環境対応やリサイクル性の観点からも再注目されており、脱炭素社会の実現に貢献する素材としての期待も高まっています。

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よくある質問

Q.ステンレス鋼の選び方で失敗する原因は何ですか?
A.ステンレス鋼の選定で多い失敗は、使用環境に合わない鋼種を選んでしまうことです。例えば塩分濃度の高い環境でSUS304を使うと、孔食が発生しやすく、予期せぬ腐食トラブルに繋がります。また、磁性の有無を確認せずにマルテンサイト系を選んでしまい、機器と干渉を起こすこともあります。ステンレス鋼はクロム、ニッケル、モリブデンなどの元素バランスや組織によって特性が異なるため、強度や溶接性、表面仕上げなどの加工条件も踏まえたうえで、技術的な選定が必要になります。


Q.ステンレス鋼の見積もり依頼時に確認しておくべき項目はありますか?
A.ステンレス鋼の見積もり依頼では、使用する鋼種だけでなく、板厚や表面処理の有無、ロット数、納品形状などを明確に伝えることが重要です。特に溶接や研磨といった加工が入る場合は、加工硬化の影響で変形が生じることもあるため、使用目的に応じた精度が必要かどうかも伝えるべきです。また、SUS304とSUS430では耐食性や磁性が異なるため、発注ミスによって不適合が起きるリスクもあります。事前に仕様と用途を整理し、信頼できる業者と丁寧にやりとりすることが、トラブルを避ける鍵となります。


Q.ステンレス鋼はどのような業界で特に使われているのですか?
A.ステンレス鋼はその耐食性と清掃性の高さから、食品業界や医療業界での使用が特に多くなっています。食品加工設備ではSUS304やSUS316がタンクや配管に使われ、酸や塩分に強い特性が求められます。医療機器では非磁性かつ高い強度を持つ材料が必要なため、オーステナイト系や析出硬化型のステンレス鋼が活用されます。また、自動車や建築分野でも、耐熱性と加工性を活かして排気系部品や装飾パネルに採用されています。業界によって求められる性質は異なるため、使用環境と要求特性に応じた鋼種の選定が不可欠です。

会社概要

会社名・・・アールニーズ株式会社
所在地・・・〒619-0201 京都府木津川市山城町綺田渡り戸40-1
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